感覚障害~アロディニアの発生機序~
感覚障害には感覚が鈍ってしまったり(感覚鈍麻)、
反対に過敏な状態になったり(感覚過敏)、
本来感じない感覚が生じたり(感覚異常)様々あります。
今回はアロディニア(異痛症)という病態について
分かりやすく書かれた文献を参考にまとめてみました。
アロディニアとは
通常であれば痛みを起こすはずのない軽度な刺激(衣服が肌に触れるという軽い刺激
など)によってさえも強い痛みを感じる状態
本来痛みが持つ体を守ろうとする信号の役割がこの病態では完全に破綻してしまいます
神経の障害後,脊髄後角神経はどのように変化して神経障害性疼痛を引き起こすのか
感覚の神経は上記の2種類があり脊髄の背中側(後角)から主に信号を送っています。
Aδ繊維,C繊維
第Ⅰ層:痛み情報を脳へ送るProjectionニューロンが存在する
⇒AδとC繊維からの直接の入力を受け侵害刺激に応答する
※非侵害刺激には応答しない
実際に第Ⅰ層を化学的に破壊したマウスではC繊維刺激薬(カプサイシン)による
疼痛行動が低下するらしい
C繊維やAδ繊維を介する侵害性機械刺激
⇒第Ⅰ層Projectionニューロンへの直接的入力 + 第Ⅱ層の興奮性介在ニューロン
(central細胞)を興奮させ,
⇒さらに第Ⅱ層外側ニューロン(vertical細胞)の興奮を介しProjectionニューロンへ
入力する
Aβ繊維
第Ⅲ層:Projectionニューロンが存在するが,侵害刺激だけでなくAβ繊維からの非侵害
刺激にも応答
Aβ繊維を介する非侵害性機械刺激
⇒第3層Projectionニューロンへの直接的入力 + 第Ⅱ層ニューロンの抑制により,
これ以降の痛覚ニューロン回路へ情報は送られない + 第Ⅱ層外側verticalニューロン
への入力は第Ⅱ層PV陽性が強力に抑制している
このように脊髄後角では痛覚と触覚が厳密に区別化されており,軽い触刺激で痛みが
誘発されることは通常起こり得ない
神経障害ではAβ繊維からの信号に対する抑制性介在ニューロンの抑制低下,
あるいは興奮性への転換によって,通常であれば痛みを起こすはずのない
軽度な刺激によって強い痛みを生じる
参考文献:
Vol. 51 No. 8 2015 ファルマシア