今回は、腰痛に悩んでいる方に知ってほしい
「仙腸関節由来の腰痛」について解説します。
腰痛ってよくある症状ですよね。
でも、実はその原因が仙腸関節にあることを
知っている人は少ないんです。
この仙腸関節がどうして痛みを引き起こすのか、
そしてどうやって診断し、治療するのか、
しっかり理解しておくことが重要です。
腰痛で困っている方は必見ですよ!
具体的な体操方法も載せておきますね!
仙腸関節って何?腰痛の原因?
まず、仙腸関節ってどこにあるのか、簡単に説明します。
仙腸関節は、仙骨と腸骨をつなぐ関節です。
仙骨は背骨の下の方にあって、
腸骨は骨盤の両側にある大きな骨。
立つ、歩く、座るといった日常の動作で、
この仙腸関節はかなり重要な役割を果たしています。
ただ、この仙腸関節が痛みの原因になることがあるんです。
いわゆる「仙腸関節由来の腰痛」です。
立ちっぱなし、座りっぱなし、
あるいは無理な姿勢を続けたりすると、
仙腸関節に負担がかかって痛みが出るわけです。
しかも、この痛みは単に腰だけじゃなく、
腰殿部や鼡径部(そけいぶ)と呼ばれる
股関節付近にも広がることがよくあります。
なぜ仙腸関節が痛くなるのか?
仙腸関節が痛む理由は、いくつかあります。
まず、仙腸関節自体が動きにくくなると、
炎症が起こりやすくなります。
中腰の作業や長時間同じ姿勢でいると、
関節に微妙なズレが生じることもあります。
このズレが痛みを引き起こすんですね。
さらに、仙腸関節の周りには痛みを感じる神経がたくさんあり、
これらが刺激されることで痛みが強く感じられるのです。
仙腸関節が痛むと、日常の動作がすごく辛くなります。
歩くのがしんどい、座っているだけで痛い、
立ち上がる時にズキッとくる。
そんな経験ありませんか?もしかすると、
仙腸関節が原因かもしれません。
仙腸関節由来の腰痛の診断方法
じゃあ、この仙腸関節由来の腰痛は
どうやって診断するのでしょうか?
これがなかなか難しいんです。
というのも、MRIやCTといった画像検査では
仙腸関節の異常が見つかりにくいんです。
だからこそ、他の方法を使って診断していく必要があります。
1. One finger test
まず、一番シンプルな方法がone finger testです。
これは、患者さんに「一番痛むところを指で指してみてください」
とお願いするテストです。
このとき、患者さんが仙腸関節付近を指すようであれば、
仙腸関節由来の痛みの可能性が高いと言えます。
2. 疼痛誘発テスト
次に、疼痛誘発テストという方法があります。
これは、仙腸関節に負荷をかけたり、
特定の動作をさせて痛みが再現されるかどうか
を調べるテストです。
例えば、NewtonテストやPatrickテストなどがあります。
これらのテストは、仙腸関節を直接刺激して、
痛みが強くなるかを確認するためのものです。
3. 仙腸関節ブロック
最終的に確定診断を行うためには、
仙腸関節ブロックという方法があります。
これは、仙腸関節に局所麻酔を注射して、
痛みが和らぐかどうかを確認するものです。
もし注射をした後に痛みが大幅に軽減したら、
その痛みは仙腸関節由来であると判断されます。
治療方法:まずは保存療法から
仙腸関節由来の腰痛が診断されたら、
まずは保存療法を行います。
保存療法とは、手術をしないで痛みを改善する
治療法のことです。
具体的には次のような方法があります。
1. 骨盤ゴムベルト
仙腸関節の痛みを和らげるために、
骨盤ゴムベルトがよく使われます。
このベルトを装着することで、
仙腸関節にかかる負担を軽減し、
痛みを抑えることができます。
前締めや後ろ締めといった使い方があり、
個人の体に合わせて調整できるのも便利です。
2. ブロック療法
先ほどの診断にも使われた仙腸関節ブロックですが、
これを治療にも応用できます。
局所麻酔や抗炎症薬を使って、痛みを緩和します。
このブロック療法は、短期間で痛みを和らげるのに効果的です。
3. 関節運動学的アプローチ(AKA)
AKAと呼ばれる治療法は、
関節の動きを改善するためのリハビリ的なアプローチです。
仙腸関節の可動性を取り戻すことで、
痛みを減らすことができます。
医師や理学療法士が行う専門的な手技療法で、
痛みの根本原因を改善します。
4. 真向法
真向法という体操も効果的です。
この体操は、正しい姿勢を取り戻すためのシンプルな体操で、
1日2回、数分でできる手軽なものです。
正しい姿勢を維持することで、仙腸関節への負担を軽減し、
腰痛の改善に役立ちます。
※記事の最後に方法を載せています!
手術療法:保存療法が効かない場合は?
もし、保存療法が効果を示さない場合には、
手術療法が検討されます。
手術では、仙腸関節を固定することによって痛みを改善します。
特に前方固定術という手術が有効で、
この手術では仙腸関節の動きを完全に制限することで、
痛みを根本的に取り除きます。
結論:仙腸関節由来の腰痛は早期診断が大切
まとめると、仙腸関節由来の腰痛は、
腰痛全体の約10%に当たるとされています。
MRIやCTでは異常が見つかりにくいため、
患者さんの痛みの訴えや疼痛誘発テストが
重要な診断手段となります。
仙腸関節ブロックを使った診断も非常に有効で、
正確に診断することができれば、適切な治療が可能です。
治療においては、まず保存療法が試され、
骨盤ゴムベルトやブロック療法、
リハビリ的なアプローチが有効です。
効果が出ない場合は手術も選択肢に入ってきますが、
早期に治療を開始することで、手術を回避できることが多いです。
もし、腰痛が長引いているなら、
仙腸関節由来の可能性も考えて、
専門医に相談してみてください。
適切な治療で、痛みのない生活を取り戻しましょう!
真向法の体操、これで腰痛を撃退!
真向法の体操、シンプルだけどめちゃくちゃ効果的です。
全部で4つの体操があるので、早速紹介していきますね。
まず、第一体操は、足の裏を合わせて両膝を床につけ、
背筋をしっかり伸ばして座りましょう。
そのままゆっくり息を吐きながら、体を前に倒していきます。
これで腰と股関節がしっかりほぐれます。
次に第二体操。
両足をまっすぐ前に伸ばして、
さっきと同じように体を前に倒します。
これもシンプルだけど、腰周りのストレッチに超効きます!
第三体操は開脚して、同じように体を前に倒します。
体が硬い人は、無理しないでゆっくりいきましょう。
最後に第四体操。
正座して両足の間にお尻を落として座ります。
そのまま両腕を上げて、体を後ろに倒していきます。
この体操で体の前面がしっかり伸びます。
これら4つの体操は、全部合わせても2〜3分でできるので、
忙しい人でも簡単に取り入れられます。
1日2回やれば、腰痛予防にも効果的ですよ!
論文タイトル: 仙腸関節由来の腰痛
著者: 村上 栄一
掲載誌: 日本腰痛会誌
巻号: 13巻1号
ページ: 40-47
発行年: 2007年