今回は、腰痛や骨盤の痛みの原因となる
仙腸関節障害に対する治療法について解説します。
仙腸関節障害って実は見落とされがちで、
腰痛の10~30%はこれが原因と言われています。
そんな仙腸関節障害を確定診断する方法と、
進化してきた手術療法、
特に最近注目されている低侵襲仙腸関節固定術
について紹介していきます。
腰痛に悩んでいる人、必見です!
仙腸関節障害って?
まず、仙腸関節障害って何なのか、簡単に説明しましょう。
仙腸関節は、仙骨(背骨の一部)と腸骨(骨盤の一部)をつなぐ関節です。この関節は、立つ、歩く、座るなどの動作に深く関わっていて、
負担がかかりやすい場所です。
特に長時間の座り仕事や、姿勢が悪い状態での作業が続くと、
仙腸関節が炎症を起こしたり、ズレたりして、強い痛みが発生します。
これがいわゆる仙腸関節障害です。
実は、仙腸関節障害は腰痛や骨盤痛の
一因となっているケースが多いんです。
でも、見つけるのが難しい。
なぜかというと、画像診断(MRIやCTなど)では
はっきりとした異常が見つかりにくいから。
だからこそ、今回の論文では確定診断法が非常に重要視されています。
診断方法
この論文では、仙腸関節障害を確定するために
次の3つの方法を提案しています。
1. 画像診断
まずは、CTやMRIを使った画像診断です。
これによって仙腸関節の変形や炎症の有無を確認しますが、
前述の通り、必ずしも明確な異常が見つかるとは限りません。
ただし、痛みの原因が他の関節や骨から来ていないかを
確認するためには有効です。
2. 仙腸関節ブロック
次に、仙腸関節ブロックという診断法が使われます。
簡単に言うと、痛みが出ている仙腸関節に局所麻酔を注射して、
その後痛みがどれだけ軽減するかを見ます。
もし注射後に痛みが大幅に減った場合は、
仙腸関節が痛みの原因と特定されます。
この方法は「痛みの原因が仙腸関節にあるかどうか」
を見極めるための非常に有効な方法です。
3. 疼痛誘発テスト
さらに、患者に特定の動作をさせて
痛みが再現されるかどうかを確認する、
疼痛誘発テストもあります。
具体的には、患者が腰を動かしたり、
仙腸関節に圧力をかける動作をしてもらい、
その時の痛みの強さをチェックします。
低侵襲仙腸関節固定術って何?
さて、ここからが今回の論文で特に注目されている内容です。
仙腸関節障害の診断が確定した場合、
治療には保存療法(薬物療法や理学療法)がまず試されますが、
これで効果が見られない場合には手術が検討されます。
ここで登場するのが低侵襲仙腸関節固定術です。
従来の手術は、仙腸関節を大きく切開して固定する方法でしたが、
これには回復に時間がかかり、体への負担も大きい問題がありました。
しかし、低侵襲手術では、体に小さな切開を行い、
内視鏡やロボットを使って仙腸関節を固定します。
この方法だと、患者の負担が大幅に軽減され、
術後の痛みや回復時間も短縮されます。