運動失調を学ぼう!!

運動失調(ataxia)とは協調運動が破たんすることです。

一般的には、

「運動麻痺がないにもかかわらず効果器(骨格筋)が協調的に働かないために円滑な

 姿勢保持や動作遂行ができない状態」として定義されます。

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頸から下の固有感覚を失ったニューロパチー症例が到達運動を行うと以下のように

運動軌跡や到達点のばらつきが目立ちます。

 

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失調症のうち、小脳性失調症に対しては、固有感覚、視覚の強化が重要とされます。

 ⇒具体的には重錘負荷、弾力帯装置、フレンケル体操、PNFなどが行われます。

 

重錘負荷には、身体の運動に物理的な安定を与えるのと同時に、固有感覚の

促進を図ることで運動制御改善の手がかりにしようという目的があります。

 

弾性緊縛帯では、体により近い関節の安定性を得るために、関節動作に一定の制約を

与えた状態での身体動作を反復することを目的としています。

 

上記のように、運動失調症には感覚フィードバック(以下FB)が重要となります。

 

<道具使用における感覚FB>

 道具を操作しているときの手の感覚(力加減)は、道具と手が接触することで生じる

 皮膚のたわみやずれから、皮膚表面にある各感覚受容器が対象を知覚し調整します。

 

そのため、

過緊張で物を握り込んでしまうと、固有感覚情報の変化をうまく知覚できません。

過剰な運動出力は種々の求心性入力を抑制(ゲー ティング)することにもつながる

ため、自身に過剰な出力が生じていることを認識させ、運動出力の軽減を図ることが

とっても重要です。

 

実際にニューロパチー患者が物体を持つと、健常者の3倍近くの力を発揮してしまい、

かつ一定の力を維持できない状態になります。

 

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<目的的な道具操作>

 虫様筋には、

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 筋の長さの変化をモニターする筋紡錘と感覚器官が豊富に含まれています。

 ので、複雑な動作中の感覚FBの供給において重要な役割を果たします。

 手指の失調では、重錘負荷や弾性緊縛帯の使用が難しく、下図のように

 セラプラストで一定の負荷量を加えながら物品把持・操作を行います。

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まだまだ確立された方法が無いのが現状ですが、

「対象に還元し、そこから学ぶ」を繰り返しましょう!

 


 

参考文献:

 ・上肢運動失調患者が箸操作に至るまでの過程 

  作業療法39巻3号 2020)

 ・感覚性運動失調に対するリハビリテーションアプローチ

  (Jpn J Rehabil Med 2019;56:110-115)